- 4点
- ( 国内 )
- 『伊藤典夫評論集成』 伊藤典夫
- 2.25点
- ( 海外)
- 『バベル』 R・F・クァン
- 2点
- ( 海外)
- 『シナバー 辰砂都市』 エドワード・ブライアント
- 1.25点
- ( 海外)
- 『溺れる少女』 ケイトリン・R・キアナン
- 1点
- ( 海外 )
- 『紅色海洋』 韓松
- 『侵蝕列車』 サラ・ブルックス
- 『電脳の歌』 スタニスワフ・レム
- 『反転領域』 アレステア・レナルズ
- 『ヒロシマめざしてのそのそと』 ジェイムズ・モロウ
- ( 国内 )
- 『インサイト』 神林長平
- 『宇宙大将軍侯景SFアンソロジー 梁は燃えているか』大恵和実 藤吉亮平 編 / 十三不塔 林譲治 木海 著
- 『虚栄の市 汚れた土地 冬の神話:小林信彦初期長篇集成』 小林信彦
- 『近代出版研究 第4号 特大号・特集「書物百般・紀田順一郎の世界」』
- 『すべての原付の光』 天沢時生
- 『接物語』 西尾維新
- 『筒井康隆自伝』筒井康隆
- 『羊式型人間模擬機』 犬怪寅日子
- 『フリースタイル 63 特集「スターログ」とその時代 中尾重晴&高橋良平インタビュー』
- 『マイ・ゴーストリー・フレンド』カリベユウキ
- 『骸ノ時計』 阿泉来堂
- 『迷宮で、死体を拾う』 龍圭介
- 『冥土レンタルサービス』 藤崎翔
- 『遊戯と臨界 赤野工作ゲームSF傑作選』 赤野工作
- 0.75点
- ( 海外 )
- 『頂点都市』 ラヴァンヤ・ラクシュミナラヤン
- 『肉は美し』 アグスティナ・バステリカ
毛利 信明 さん
- 森下さん、怪我は大丈夫ですか。私は何とか1年を過ごすことができました。
- 体の不具合を数えると増えることはあっても減ることはないのが現実というか高齢者のつらいところです。若いころには全く読むことのなかった健康関係の本を読むことが多くなりましたし。
- さて令和7年のSF界の状況を個人的な感想で箇条書きにしてみますと、
- ①中国や韓国のSFの紹介は継続的に行なわれたものの一時期の勢いは下降気味というかこれが平常運転。劉慈欣の作品もあらかた翻訳されたし…。
中では今までの韓国SFと違うアクション物『カウンターウェイト』が楽しめた。他には『宇宙墓碑』も。
- ➁驚いたことに出そうで出なかった『伊藤典夫評論集成』、未訳本『シナバー』の刊行(まさか翻訳されるとは)、『SFマガジン連載復刻版 果しなき流れの果に(他)』の出版。
- ③ハヤカワSFコンテスト、創元SF短編賞出身作家の短編集や長編が多く出版される。
『コミケへの聖歌』『羊式型人間模造機』『マイ・ゴーストリー・フレンド』『烙印の名はヒト』『すべての原付の光』『風になるにはまだ』『火星の女王』など。
- ④目立ったのは東京創元社の着実なSF出版。
主だったものでは『パラドクス・ホテル』 『惑星カザンの桜』『非在の街』『頂点都市』『反転領域』『絶滅の牙』など。
それに久しぶりに竹書房のSF出版『ヒロシマめざしてのそのそと』『いつかどこかにあった場所』(内容が充実)、これからも続いていくのかは「?」だが。
- ⑤ノンフィクションの出版では『伊藤典夫評論集成』の他には『翻訳者の全技術』『P・K・ディックの迷宮世界』『筒井康隆エッセイ集成』『言語化するための小説思考』など。
- では、いつものように読んだ順に。今回は候補作が多く、選ぶのに迷いました。
- ○『インサイト』(神林長平著・・・シリーズ5作目。ますます哲学的思索的になっていく。シリーズ初期のジャムの正体がそのうちわかるかなと期待を抱かせる展開だったころが懐かしく思える。そこから遥かに物語世界が深みを増し、遠ざかっている。そろそろ完結することを願うばかり)
- ○『バベル』(R・F・クァン著・・・鳴り物入りの作品、歴史改変SFでありファンタジー。多くの書評で取り上げられているので今更いうこともないが、ある意味「言語」に構築された世界で悪戦苦闘する青年たちの熱い物語。いつの間にか作品に没頭していた。完成度が高い)
- ○『伊藤典夫評論集成』(伊藤典夫著・・・伊藤氏の「SF人生60年の集大成」といっていい。あのSFスキャナーがまとめて読める幸せ。長らく刊行を待っていた甲斐があった)
- ○『紅色海洋』(韓松著・・・遥か未来の地球を舞台に水棲人たちの共食い、暴力、近親相姦など、ごった煮状態の作品。文章は粗削りだが勢いがある。巻末の上原かおりの作品論は参考になる)
- ○『シナバー 辰砂都市』(エドワード・ブライアント著・・・半世紀たっての翻訳にびっくり。「幻の名作」はあれこれと想像しているうちが花というが…。
シリーズの一遍といわれる「八月の上昇気流」、掲載誌を図書館で読む。カイト乗りたちの話、これはシナバーシリーズではないと思う。- ベスト5以外には。
SF畑以外で気になった作品で『対怪異アンドロイド開発研究室2』(続編なので前作の驚きはないが)『探偵機械エキシマ』(人の殺意を感知するAI搭載の機械という設定)『レモネードに彗星』(設定はぶっとんだSF的なものだが展開は普通の小説っぽい不条理小説)『お化け屋敷へ、ようこそ』(日本でなく外国で発表活動!怪異ものが主だが読み心地は一筋縄ではいかず)など。
- その他特に印象に残った作品は『宙の復讐者』(令和版『エンダーのゲーム』か)『侵蝕列車』(文庫が2千円を越える時代に!)コミック版『ソラリス』(あれだけの内容をすっきりまとめている)。
- アンソロジーや短編集では『恐怖とSF』(異形コレクションのSF版)『成層圏の墓標』(いつもの上田ワールド)。
- さて、今年はどういう作品に出会えるのでしょうか。
岡田 研一 さん
(国内) 1点
- 『伊藤典夫評論集成』伊藤典夫
- 『近代出版研究 第4号 特大号・特集「書物百般・紀田順一郎の世界」』
- 『虚栄の市 汚れた土地 冬の神話: 小林信彦初期長篇集成』小林信彦
- 『筒井康隆自伝』筒井康隆
- 『フリースタイル63 特集「スターログ」とその時代 中尾重晴&高橋良平インタビュー』
極端なリストでもうしわけありませんが…。 本当は『伊藤典夫評論集成』に5点をあげたいのですが、他の「長老」の方々の著書も外しがたかったので、この配点となりました。 紀田順一郎先生は「SFマガジン同好会」の創設者であり、私はずっと「SFの人」だと思ってきました。 小林信彦『汚れた土地』では、作中でフィリップ・K・ディックへの言及があり、日本SF史的にも無視しがたい作品です。 『筒井康隆自伝』は『筒井康隆エッセイ集成 全2巻』もあわせてのランクインです。
木 海 さん
昨年予告されていた傑作選、結局は出版が難しくなってしまったようで、少し残念ですが、前を向いて進むしかありませんね。
(森下註:昨年の投票で木海さんは「順調にいけば、2025年には『2024年日本SF小説選(仮)』を(中国で)出版する予定です」とコメントされていました)
今年紹介する五つの作品は、何故かどれも「復活」に関連している。 以下、各1点です。
- 『迷宮で、死体を拾う』(龍圭介 著)
- 迷宮の中で屍骸を運び、教会で蘇らせよう。
- でも、謎解きは蘇生前に終わらせることを忘れないでください。
- 『骸ノ時計』(阿泉来堂 著)
- 復活は願いでも呪いでもなる。冥土に墜ちた愚かな人間よ、人間性の欠点は簡単に増幅される。
- 『冥土レンタルサービス』(藤崎翔 著)
- 作者の巧みな筆で、人々が短くも、世の中に帰還する物語を繋げ合わせた。とても感動的だ。
- 『接物語』(西尾維新 著)
- 青春の遺骸を瞻仰し、禁忌の過去を燃やしながら、待ち望んでいた専門家たちの物語が思いがけず舞い降りた。
- 『宇宙大将軍侯景SFアンソロジー 梁は燃えているか』(大恵和実 藤吉亮平 編)
- 歴史に名を刻む人が、この奇抜なアンソロジーによって再び吹き返す——なんとも味わい深い、見逃せない今年の一冊。
さあのうず さん
あまりたくさん読めたわけではありませんが、今回も投票します。
1.『バベル』 R・F・クァン 1.25点
- 現代らしい問題意識が盛り込まれ、SFとファンタジーの融合という潮流も感じさせる評判通りの傑作でした。
1.『溺れる少女』ケイトリン・R・キアナン 1.25点
- 題材としては狭義のSFにはあたらないかもしれませんが、人間を変容させる怪異・虚構といったものについての考察が非常に speculative である作品と思いました。
3.『伊藤典夫評論集成』 伊藤典夫 1点
- リアルタイムで読んだものが必ずしも多くないため、全体の大部分が未読の状態のものを挙げるのはためらわれましたが、読んだごく一部でも示唆に富む内容ばかり。さらにはそれが総覧できる一冊なわけですから、ランクインせざるを得ません。
4.『肉は美し』アグスティナ・バステリカ 0.75点
- 設定としては図抜けて特殊というものではない人肉食テーマのディストピアものですが、ストレートなアプローチ、陰鬱な文体と意表を突く展開で驚かされました。
4.『頂点都市』ラヴァンヤ・ラクシュミナラヤン 0.75点
- こちらも格差社会を極端にしたという点では必ずしも新しいともいえないディストピアものですが、現代インド作家という時代性地域性もあって切り口が面白かったです。
Takechan さん
- 年のためかあまり長いものは読めなくなった。伊藤典夫評論集は読みたいが重すぎる。
- というわけで面白く読んだ下記の作品に一点ずつ入れてください。
『電脳の歌』 スタニスワフ・レム
- 以前、一部は 『宇宙創世記ロボットの旅』という題ででていたが、今回のほうが楽しめた。
『反転領域』 アレステア・レナルズ
- 船医を主人公として、ヴェルヌ、ポー、クラークを思わせる冒険の果て、最後はDrコトーのように着地する。
『シナバー 辰砂都市』 エドワード・ブライアント
- なつかしい70年代のSFで、楽しく読んだ。
『侵蝕列車』 サラ・ブルックス
- 未治の生物がはびこる異形の地を列車が走る。
『ヒロシマめざしてのそのそと』 ジェイムズ・モロウ
- 荒唐無稽な怪獣小説であり、なおかつ反核小説。作風はカートヴォネガットJrを思わせる。
森下 一仁
新人作家の皆さんが、元気のいい、達者な作品を発表してくれたことが強く印象に残っています。 さらに、伊藤典夫さんの評論集成は、私にとっては別格の存在。SFを読み始めた瞬間から強い影響を受け、育ててもらった文章の数々が収められているこの本は、「SFにおける私自身」ともいうべき一冊。大きくて重いのも、とても頼もしい。 というわけで、以下の5作品に1点ずつ。
- 『伊藤典夫評論集成』 伊藤典夫 (国書刊行会)
- 『羊式型人間模擬機』 犬怪寅日子(早川書房)
- 『遊戯と臨界 赤野工作ゲームSF傑作選』 赤野工作(東京創元社)
- 『マイ・ゴーストリー・フレンド』カリベユウキ(早川書房)
- 『すべての原付の光』 天沢時生(早川書房)
ベストSF2025 投票募集のお知らせ
トランブ大統領が再度就任し、ウクライナやガザで悲劇がつづいた2025年。
あなたはどんな読書生活を送られましたでしょうか。
この年に読んだSFで良かったものを教えてください。
どなたさまもお気軽にご参加を。2025年1月1日から12月31日までに国内で出版されたSF(奥付の日付で判断してください)で、あなたがおもしろかったと思うものをEメールで投票してください。要領は次のとおりです。
- 日本語で読めるもの(電子書籍のみで出版された作品は、活字デビューされている作家のものに限らせていただきます)。
- 最終集計で海外作品と国内作品に分けます。
- 1人5作品まで推薦可能。もちろん、1作品でも構いません。
- 点数集計:推薦者1人が5点を所有し、推薦各作品に割り振る。指定のない場合は、均等に配分します。
- 例1:ショウヘイ『二刀流』―3点、ヨシノブ『ワールドシリーズMVP』―2点
- 例2:ヘビ「ニョロニョロ」、ウマ「ヒヒ~ン!」、ヒツジ「ムメエ」(配点指定がないので各1.667点)
- 投票期間:2026年2月28日(土)午後12時まで。
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- 発表:投票があり次第、途中経過を発表してゆきます。
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