ベストSF2010

★ 投票数……15




各投票者の推薦作

(到着順)


毛利 信明 さん

 昨年も読んだ冊数からいえば圧倒的に国内作品が多かったこと、また 海外作品はシリーズものやミリタリーものがほとんどで、実際に手に取ったものはわずかでしたので以下のような結果になりました。例年のように読んだ順に。
『もいちどあなたにあいたいな』新井 素子 著)・・・久しぶりのSF長編。「ところてん式パラレルワールド」にはびっくりしました。
『歪み真珠』山尾 悠子 著)・・・ひとつひとつが幻想的絵画。イメージが真珠のようにきらめいています。
『どろんころんど』北野 勇作 著)・・・いつもの「北野ワールド」。鈴木志保さんの挿絵が絶妙です。
『華竜の宮』上田 早夕里 著)・・・「魚舟・獣舟」の長編化の予告から今か今かと待ち望んでいましたが、期待は裏切られませんでした。正直、本の厚さに読むのを一瞬ためらいましたが、読み始めるとぐいぐいと引き込まれました。
『異星人の郷』マイクル・フリン 著)・・・世間でいわれるように 傑作であるのは認めますが、個人的に宗教ものは苦手なのでどこまで理解できているか、不安です。
 SFMの「てれぽーと欄」に書いたように、やはり昨年は「SFアンソロジー・短編集」の年だったのかなと思います。
 その他、印象に残った作品のタイトルだけ挙げると、国内作品では『密閉都市のトリニティ』『去年はいい年になるだろう』『エンドレス・ガーデン』『ペンギン・ハイウェイ』など。海外作品では『創世の島』『平ら山を越えて』『ゾーイの物語』『宇宙飛行士オモン・ラー』でしょうか。



こり さん

 2010年もSFを少ししか読めませんでした。その中で選びますと・・・
  • 『最終定理』アーサー・C・クラーク、フレデリック・ポール 2点
  • 『「希望」という名の船にのって』森下一仁) 1点
  • 『メモリー・ラボへようこそ』梶尾真治) 1点
  • 『ボクハ・ココニ・イマス 消失刑』梶尾真治) 1点
以上よろしくお願いします。



たまきち さん

 今年も参加させて頂きます。もともと遅読なのに加えて2010年はホラー小説をちょこちょこと読んでいたので、SFはあまり読めませんでした。けれども読んだ本はどれも面白く、オールタイムベスト級の作品もあったのが嬉しかったです。SFを意識して読み始めて3年ほどですが、やはりSFは良いものですね! そんな中から2010年ベストSFは次のとおりです。

上田早夕里『華竜の宮』→(1.5点)
 オールタイムベストSFに選んでもいいほど面白かったです! SF設定もさることながら、登場人物が一本しっかり通った信念を持っていて本当に熱い展開でした。
北野勇作『どろんころんど』→(1.5点)
 こちらもオールタイムベストSF。不思議な世界で繰り広げられるアリスと万年1号との旅の最後は不覚ながら涙ぐんでしまいました。
ジョン・スコルジー『ゾーイの物語 老人と宇宙(4)』→(1.0点)
 「老人と宇宙」シリーズは毎度面白いけれど、今巻も魅力ある宇宙人とウィットに富んだ文章で楽しんで読むことが出来ました。
片理誠『エンドレス・ガーデン ロジカル・ミステリー・ツアーへ君と』→(0.5点)
 ひとつの章が一冊分くらいの分量があり、またクオリティーも高く、読了感が凄かったです。
山岸真『ポストヒューマンSF傑作選 スティーヴ・フィーバー』→(0.5点)
 僕はポスト・ヒューマンというものが好きなのか! と気付かせてくれた一冊。技術の発展による自分という器の消失、サイボーグ化、どれも大好物です(笑)

 ということで、5冊選んでみました。SF以外では、貴志佑介『悪の教典』マックス・ブルックス『WORLD WAR Z』ボストン・テラン『音もなく少女は』牧野修『再生の箱/破滅の箱』牧野修+田中啓文『郭公の盤』、異形コレクション等々、非常に面白い読書体験をすることが出来ました。今年も色々と読んで大切な1冊を見つけたいと思います。最後に自分の紹介として。ブログをやっています。漫画や本の感想を書いたりしています。よろしければ、見に来てやってください。→ http://yorozumaggot.blog84.fc2.com/



キュウちゃん さん

 昨年読んだ昨年発売のSFないしSF作家の書いたもの、以下の通り。
銀河乞食軍団 黎明編4
未来への周遊券
アホの壁
リス子のSFときどき介護日記
二十世紀から出てきたところだけれども、なんだか似たような気分
 それぞれ1点づつで、お願いします。
 それにしても、読んだフィクションが1作のみとは、反省!
 銀河乞食軍団、売れなかったんですかねぇ。私には面白かったんだけれど・・・。
 今年はすでに「宇宙にとって人間とは何か」「近代日本奇想小説史」と、この先、期待できそうです。
 それにしても、フィクション、読まなくなりましたねぇ。
 私のことです。

 今後とも、よろしくお願いします。



本橋 牛乳 さん

 今年も、あまりSFを読んだとは言えないのですが、いい作品があったので、投票させてください。
 投票作品は、以下の通りです。
カミ「機械探偵クリク・ロボット」 1点
中森明夫「アナーキー・イン・ザ・JP」 1点
坂井恵理「ビューティフルピープル・パーフェクトワールド」 1点
 「機械探偵クリク・ロボット」は、60年以上前に書かれた、ロボット探偵のバカミスなんですけど、遠い昔、読んだSFの感触を思い出してしまいました。

 「アナーキー・・・」は、今書かれるべき小説なのだと思います。無政府主義というものが、成り立つのかどうか、不可能性が一方であると思うのですが、現実には政治不在であっても国として成り立っているのが現在の日本だとも思うのです。そして、しばしばマンガの世界ではアナーキーな世界が描かれ、それが売れているということもあります。代表的なものは、「ワンピース」でしょうか。
 そうした現在の日本を反映させた作品として、考えています。また、マンガのことを言えば、東京都の青少年条例の問題は、アナーキーな作品を生み出す文化への抑圧ということもあったのではないかと思っています。

 「ビューティフル・・・」はマンガですが、整形外科だけが発達した未来が描かれています。外見を変えることで、アイデンティティなんてどうにでもなる、という世界は、なかなか考えるところがあります。つまり、ぼくたちの本質って何だろうって、問われているのではないか、という。

 以上、3作を選びました。



さあのうず さん

『華竜の宮』『異星人の郷』は読んでいませんが・・・
  • 『暗殺のハムレット(ファージングII)』 ジョー・ウォルトン 1点
     ナチスものとしては明るすぎるという意見もあるが女性やゲイに視点を置いた新機軸の改変歴史ものとして新風を吹き込んだ意欲作と評価したい。三作中で劇中劇もあって一番華やかだったのがこれ。
  • 『跳躍者の時空』 フリッツ・ライバー 1点
     正直猫属性はないのですが(笑)、ライバーの短篇集なんてもう出ないかもしれないし。一番は「『ハムレット』の四人の亡霊」かな(あっ、これも舞台ものだった)。
  • 『NOVA3』 大森 望 編 1点
     これは瀬名秀明「希望」に対して。今の時代に挑みかかるような野心作だと思う。
あと二つはノンフィクション。
  • 『人生の奇跡』 J・G・バラード 1点
     バラードの創作の核である上海の話も面白いが、個人的にはその後のイギリスの話も同じくらい面白かった。20世紀を体現した不世出のSF作家の軌跡が抑えた筆致で描かれている。
  • 『ぼくらが夢見た未来都市』 五十嵐 太郎磯 達雄 1点
     これ、もっと話題になっていいんじゃないですかね。現実の都市計画の話とSF都市論が交互になっているつくりは少々変則的だけれど後者の内容の濃さは半端じゃないっす。是非皆さんご一読を。



崎田 和香子 さん

 考えてみると、去年はあまりSFを読んでいませんでした。
 その中で、アイデアてんこ盛りが楽しかった
『最終定理』アーサー・C・クラーク、フレデリック・ポール
 読後感の良かった
『「希望」という名の船にのって』森下 一仁
 マニアックな変化球が楽しめた
『去年はいい年になるだろう』山本 弘
 以上、3作品にそれぞれ1点ずつ入れさせて頂きます。



大熊 宏俊 さん

 例年通り五作品を推薦します。
アヴラム・デイヴィッドスン 『エステルハージ博士の事件簿』 池 央耿 訳(河出書房)
眉村 卓 『沈みゆく人』(出版芸術社)
山尾 悠子 『歪み真珠』(国書刊行会)
かんべ むさし 『ミラクル三年、柿八年』(小学館文庫)
福田 和代 『オーディンの鴉』(朝日新聞出版)

(選外)橋元 淳一郎 『時間はなぜ取り戻せないのか』(PHPサイエンス・ワールド新書)
 順不同です。『時間は……』は非小説。時間の不可逆な流れを細胞膜の形成によって成立した生命の「主体的意思」が感じたものとの解説が実にセンスオブワンダーでした。「隠生代」では逆向きの時間の流れを耐えられない意思が無意識に反対に錯覚する話だったと記憶しますが、本書の解説はかかる「隠生代」をも説明してしまっています。いやほんまですよ。
 その意味で上記5作品に全く引けを取りませんが、5作品という規定上、どれかを落とさなければならず、今回は小説優先ということにいたしました。方便といわれれば方便です(>おい)(^^;
(森下註:◎印5作品、各1点となります)



高槻 真樹 さん

 ぎりぎりまで落ち穂拾いをしていて遅くなりました。でも大いに収穫あり、です。今年から「SFが読みたい!」に投票させていただいておりますが、せっかくなのでこちらはまったく違う顔ぶれに。
彦坂尚嘉・五十嵐太郎・新堀学 「空想 皇居美術館」 (朝日新聞出版) 2点
 近所の本屋で偶然発見して呆然。天皇を皇居から追い出してその跡地に日本中の超一流の美術品を集めた巨大美術館を建てようという、壮大な思考実験が描かれています。むろん実現は不可能ですが、どうやったら可能になるか? をとことん突き詰めてシミュレートしていく過程で限りなくSFに近づいていきます。こうした想像力の暴力的パワーは、最近なかなかSFでは見られなくなったので、ぜひ多くの方に見ていただきたいです。

スティーヴン・ホール 「ロールシャッハの鮫」 (角川書店) 1点
 この厚さ。しかし憑かれたように瞬く間に読了。現代アートの側からSFに近づいた好例としてぜひプッシュしたいですね。特に最後の余韻がすばらしい。読み終えてみるといろいろ未解決な事案もあるのですが、実は世界中に本書の「裏テキスト」の断章がばらまかれているのだとか。ちょっと我々には追いきれませんが、なるほどそういうものがあるのかと考えればこの構成は納得。

吉田篤弘 「パロール・ジュレと紙屑の都」 (角川書店) 1点
 どうも吉田篤弘は一作ごとにSFへ近づいているようです。今回など、本から本へ渡り歩くスパイが登場する冒頭を読むだけで本当にわくわくしてしまう。しかもこの世界で大ベストセラーになっているのはSF小説で、そこでは宇宙プロフェッサーが宇宙空間をスーッと落下していく光景が本一冊まるまるかけて描かれている、なんて話が出てくる。ぜひ次回は完全なジャンルSFを期待したいですね。

森下一仁 「『希望』という名の船にのって」 (ゴブリン書房) 1点
 待望の新作、しかも夢に見たジュブナイル。至福の読書でした。ラノベには絶対にマネできない森下節。最高です。



中村 達彦 さん

  1.  華竜の宮 上田早夕里 1.3点
  2.  「希望」という名の船にのって 森下一仁 1.0点
  3.  もいちどあなたにあいたいな 新井素子 0.8点
  4.  去年はいい年になるだろう 山本弘 1.2点
  5.  スーパー乙女大戦 森奈津子 0.7点
『華竜の宮』は圧倒された1作です。大変動で別れ、何百年もかけて変革していく二つの人種の運命が描かれています。似たアイデアは昔からありましたが、こういうやり方でリニューアルするとは。
(それで、同じく2010年に発表された和製の海洋SFと言えば→)
『「希望」という名の船にのって』は、古き時代の海洋冒険SFをうまく継承した面白さが気に入りました。絶望の中であきらめない人々のドラマが何とも。こう言ったSF入門テイストの作品がどんどん出てもらいたいです。
(それで、森下先生が講師を勤めた空想小説ワークショップに10年前ゲストで来たと言えば→)
『もいちどあなたにあいたいな』は、度重なる不幸に襲われる叔母さん、彼女の秘密について、取り巻く家族の各々の立場で話が進行していきます。一見淡いですが、実は残酷な展開です。主人公を助けるオタクの友人が良い奴です。
(それで、新井先生とデビュー同期で、女史の代表作の一つ「絶句」と同じく家族を巻き込んだ私小説SFと言えば→)
『去年はいい年になるだろう』は、2001年に突然出現した、未来からの来訪者はあの大事件を食い止め、世界的な世直しを開始する、その一部始終を作家山本弘の視点で描いている。介入により変わる世界を可能な限り細かくシミュレートしています。御家族はじめ山本先生の知人の方、多数登場しています。
(それで、トンデモ本で取り上げられそうな作品と言えば→)
『スーパー乙女大戦』は、バカSFの一種、特撮やスーパーロボットもののパロディでもありますが、実は百合の話です。○○によるエネルギーとかのっけから××××のシーンとか、ヤングアダルトにお奨めできませんが。ギャグと明かされるおちはいろんな意味で笑えます。(スーパーガイアの全身図イラストが欲しかった)、森奈津子先生はデビュー20周年になります。

※他に選考外では、小林泰三「天体の回転について」の文庫本(表紙が初音ミクっぽくなった。笑)が面白く、また小川一水「博物戦艦アンヴェイル」は面白いのですが、これファンタジーなので選考外です。あとSF漫画で、村上もとか『JIN-仁-』がうまく完結しましたね。



nyam さん

 今年は、分析哲学系の本ばかり読んでました。でもアレって、ちょっとSFですよね( 哲学的ゾンビとか、可能世界とか、スワンプマンとか )。
リックの量子世界 デイヴィッド・アンブローズ 1点
大戦前夜 ジョン・リンゴー             1点
創世の島 バーナード・ベケット          1点
テルマエ・ロマエ II ヤマザキマリ         1点
セドナ、鎮まりてあれかし 泉 和良        1点
 アンブローズは「覚醒するアダム」が好きだったので、追いかけてしまいます。「テルマエ」はタイムスリップものということでお許しください。
●番外賞   TBS金曜ドラマ 「SPEC」
●再発見賞  時間島 椙本孝思
 なお、「異星人の郷」「跳躍者の時空」は未読。



takechan さん

 2010 年のベスト5
『華竜の宮』 上田 早夕里
『最終定理』 アーサー・C・クラーク/フレデリック・ポール
『異星人の郷』 マイクル・フリン
『エステルハージ博士の事件簿』 アヴラム・デイヴィッドスン
『機械探偵クリク・ロボット』 カミ
 以上がです。各1点



小泉 博彦 さん

 今年度も、年度内に読んだSF関連図書(新刊)のほとんど全て、です。
「『希望』という名の船にのって」 森下 一仁  1点
 (すいません。作者が当惑なさっているようですが、やはり挙げさせてください。)

「二十世紀から出てきたところだけれども、なんだか似たような気分」  鏡 明 1点

「ゾラン・ジフコヴィッチの不思議な物語」 ゾラン・ジフコヴィッチ  1点

「ケルベロス 鋼鉄の猟犬」 押井 守 1点
 (カミにしようか迷ったのですが。)

「TOKON10 Official Souvenir Book」 第49回 日本SF大会 Official Souvenir Book 編集委員会 1点
 (小谷さんのものと合わせて投票したいところですが、5作までということでこちらを。お世話になりました。)
 という訳で、 「機械探偵クリク・ロボット」 カミ と 「リス子のSF、ときどき介護日記」 小谷 真理 は選外にしました。



椋野 直樹 さん

 今年もSF小説の読書量は少なくて済みません。他のエンタメ小説といい、評論といい、何でこう分厚い本が増殖しているのか。映画もしかり。ムダに上映時間が長い。ゲームもやらない、ネットも控えている寂しい中年男なのに、何でこう読書時間がひっ迫していくのでしょう…。ミドルエイジクライシス? ただ集中力が衰えているの?
『華竜の宮』 上田 早夕里 2・5点
『ワイオミング生まれの宇宙飛行士』 中村 融 編 1・5点
『ニ十世紀から出てきたところだけれども、なんだか似たような気分』 鏡 明 0・5点
 『華竜の宮』は惜しみなく注がれたアイデアとテーマの数々にまず呆然。それをまとめ上げる作者の力量には、ただ圧巻の一言。
 1065年生まれの同世代として、作品の背景に感じる、環境破壊や終末感、政治の腐敗、世界のパワーバランスの変化、享受してきた様々なサブカルチャーなどに対する作者の思いが透けて見えて、深く胸を打つ。もちろんSFに対する愛も。新世紀日本SFのすでに古典と言い切ってしまっても良いのでは。
 ただ、そのあまりにも高潔で徹底した相対主義に敬服はするものの、せっかくの魅力的な生態系での、活劇冒険物語要素も盛り込んで欲しかったな、と。怒涛のディベートの嵐に、少し疲れました。

番外編

2010年度SF・特撮・ファンタジー映画ベスト
  1. 『第9地区』 ニール・ブロムカンプ
  2. 『月に囚われた男』 ダンカン・ジョーンズ
  3. 『ヒックとドラゴン』 デューイ・デュボワ&クリス・サンダース
  4. 『コララインとボタンの魔女』 ヘンリー・セリック
  5. 『かいじゅうたちのいるところ』 スパイク・ジョーンズ
 ()は現実の南アのリアルな社会問題を借景に、エイリアン+パワードスーツ+異文化衝突+バディものをぶち込んだアイデアが秀逸。低予算SF映画の新たな希望の星。

 ()は80年代に青春を過ごした映画ファンになかなかのインパクトを残した、あのデイヴィッド・ボウイの息子が監督。どこか懐かしい感じのする月面SFに仕上がっている。低予算で限定されたシチュエーションながら、実力派の俳優と、センスのいい美術、視覚効果で飽きさせない。ヒューニズムに満ちた幕切れも、好感度高し。

 ()は実写映画でもなかなかない、練り上げられた超A級の脚本と繊細な演出に圧倒される、CGアニメの一つの頂点。ジュブナイルとしても上出来だが、マッチョな世界では異端な少年とドラゴンの友情を通して、異文化の衝突と融和というテーゼを織り込み、苦さも辞さない作り手の志の高さに号泣。
 アメリカでは口コミでじりじり評価を上げて、ロングヒット。日本では大コケ。DVDでぜひご覧あれ!もちろん『トイストーリー3』も号泣ものの大傑作。

 今どき流行らぬストップモーション人形アニメに、命を掛ける男ヘンリー・セリック(『ナイトメア・ビフォー・クリスマス』)()は、そのちょいグロテスクな嗜好とリリカルなイメージが、ゲイマンの原作とマッチして、とんでもないことに。ダークトーンのファンタジーとして出色。最近のティム・バートン作品に首をかしげている人はぜひ!

 ベストセラー絵本に独自の解釈を盛り込んだ()は、原作のイメージを壊さないよう最大限のリスペクトを払いながらも、楽しい悪夢のような絶妙な作品に。CG全盛の時代に、あえて実寸大のかいじゅうスーツに拘った作り手に拍手。そのかいじゅうたちの造形、動きを観ているだけで幸せ。子供の成長ものとしても嫌味なくまとめ上げた、演出の力量にも瞠目。



森下 一仁

 手抜きで申し訳ありません。タイトルだけ――
  • 『天冥の標II 救世群』 小川 一水
  • 『華竜の宮』 上田 早夕里
  • 『郭公の盤』 牧野修田中啓文
  • 《ファージング》 3部作 ジョー・ウォルトン
  • 『異星人の郷』 マイクル・フリン











ベストSF2010 投票要領


 今年もやりますベストSFアンケート。
じっくり選んで投票してください。

 2010年1月1日から12月31日までに国内で出版されたSF(奥付の日付で判断してください)で、あなたがおもしろかったと思うものをEメールで投票してください。要領は次のとおりです。