- 5点
- (海外)
- 『パワー 西のはての年代記V』 アーシュラ・K・ル=グウィン
- 4点
- (海外)
- 『時間封鎖』 ロバート・チャールズ・ウィルスン
- 3点
- (海外)
- 『太陽の盾 〔タイム・オデッセイ2〕』 アーサー・C・クラーク&スティーヴン・バクスター
- (国内)
- 『新世界より』 貴志 祐介
- 2点
- (海外)
- 『限りなき夏』 クリストファー・プリースト
- 『彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス』 ジャック・キャンベル
- 『20世紀の幽霊たち』 ジョー・ヒル
- 『ライト』 M・ジョン・ハリスン
- 『量子真空』 アレステア・レナルズ
- (国内)
- 『虚構機関―年刊日本SF傑作選』 大森望・日下三蔵 / 編
- 『神獣聖戦 Perfect Edition』 山田正紀
- 『ハーモニー』 伊藤計劃
- 『穂足のチカラ』 梶尾 真治
- 『冷食捜査官vol1』 とり・みき
- 1点
- (海外)
- 『あなたまかせのお話』 レイモン・クノー
- 『エア』 ジェフ・ライマン
- 『カルメン・ドッグ』 キャロル・エムシュウィラー
- 『ザ・ロード』 コーマック・マッカーシー
- 『蒸気駆動の少年』 ジョン・スラデック
- 『太陽の中の太陽』 カール・シュレイダー
- 『遠すぎた星 老人と宇宙2』 ジョン・スコルジー
- 『夏の涯ての島』 イアン・R・マクラウド
- (国内)
- 『赤い星』 高野史緒
- 『稲妻6』 坂本康宏
- 『宇宙細胞』 黒葉雅人
- 『SFはこれを読め!』 谷岡一郎
- 『サイエンス・イマジネーション』 小松左京:監修 / 瀬名秀明:編
- 『詩羽のいる街』 山本弘
- 『司政官 全短編』 眉村卓
- 『先端で、さすはさされるわそらええわ』 川上未映子
- 『だいにっほん、ろりりべしんでけ録』 笙野頼子
- 『地球最強姉妹キャンティ 大怪盗をやっつけろ!』 山本弘
- 『フリーランチの時代』 小川一水
- 『迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル?』 林亮介
各投票者の推薦作
(到着順)
- marin さん
- 2008年も新作SF、ちょっとしか読めなかった・・・残念。その中で2つだけ選んでみました。
- アーサー・C・クラーク&スティーヴン・バクスター『太陽の盾 〔タイム・オデッセイ2〕』 3点
- 梶尾真治『穂足のチカラ』 2点
- よろしくお願いします。
- 毛利 信明 さん
- 振り返ってみると昨年もかなり国内外のSFを読んでいます。ただ、読みかけのままの本も少なからずあり。特に長い長編は年を取ってくるとダメです。たくさんの本をあげたいので、それぞれ1点で。
- ○新世界より(貴志祐介)・・・日本SF大賞おめでとうございます。 圧倒的な迫力。物語世界にぐんぐん引き込まれてしまいます。
- ○限りなき夏(プリースト)・・・「群島もの」もいいのですが、表題 作のような他の短編も捨てがたい。
- ○宇宙細胞(黒葉雅人)・・・一種の「怪獣もの」といっていいのでしょうか。グロさ大爆発の奇書。
- ○時間封鎖(ウィルスン)・・・内と外の時間の流れが1億倍も違うというアイディアが素晴らしい。しかし、展開は人間ドラマ。それはそ れでいいんですが、少々残念。
- ○神獣聖戦Perfect Edition(山田正紀)・・・元になった3冊の中編集の内容すら忘れた頃に改訂版が出版。それも大幅に内容が新しくなって。当時の山田氏が描き出した数々のSF味あふれる作品を思い出します。
- nyam さん
- 今年は不作でした。シリーズものの続きを惰性で読んだり、過去の名作を読み返したりしていました。
- ハインラインの『ルナゲートの彼方に』と『銀河市民』は読んだはずだが、またまた感動しました。
- ○『時間封鎖〈上/下〉』 ロバート・チャールズ・ウィルスン 2点
- これは傑作と思います。作者のノスタルジックな持ち味とSF大仕掛けがぴったりと合っています。
- ○『彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス』 ジャック・キャンベル 2点
- ニュースペースオペラではありませんが、安心して読めるスペオペでした。
- ○『遠すぎた星 老人と宇宙2』 ジョン・スコルジー 1点
- これも良かったが、一作目ほどのインパクトはないのでちょっと減点。
- 番外編
- ○『虚構機関 年刊日本SF傑作選』 大森 望・日下 三蔵 編
- なつかしのアンソロジーを蘇らせようというその意気に一票!
- 再発見賞
- ○『マイナス・ゼロ』 広瀬 正
- 最後まで読んで、びっくりしました。こんな話だったかなあ???
- (注:大本命の「量子真空」は未読のため、涙を飲んではずしています)
- さあのうず さん
- ○『限りなき夏』 クリストファー・プリースト 1点
- やっぱり大好きプリースト。見事な語りに酔わされたり驚かされたり。
- ○『夏の涯ての島』 イアン・R・マクラウド 1点
- タイトル作や「チョップ・ガール」など派手さはないものの実にいい短編がある。
- ○『蒸気駆動の少年』 ジョン・スラデック 1点
- スラデックがどう凄いのか、分かりやすく見せてもらった。
- ○『20世紀の幽霊たち』 ジョー・ヒル 1点
- 異色作家短編集に遅れてはまった自分的にはインパクトNo.1。(多少年下とはいえ)比較的近い年の作家が、好きな種類の本を出してくれるのは何だか嬉しい。
- ○『ハーモニー』 伊藤計劃 1点
- 現代社会の行く末、という難しいテーマを個の視点から絶妙な力加減で提示してくれるところがいい。
- ハードSF方面の読書は相変わらず停滞していて、今年はついにイーガンも間に合わず。『新しい太陽のウールス』の刊行はもちろんニュースだけど、シリーズものの一部だから泣く泣く落とした。短編集好きとしては是非続けて欲しいベストSF企画『虚構機関』にも点をあげたかった。全体的に短編集を頑張って出してくれるところが多くなってきたことは素直に嬉しく、何とか着実に消化していきたいと思ってます(しかし現実は)。
- 本橋 牛乳 さん
- 今年は、
- アーシュラ・K・ル=グイン『パワー』 4点
- M・ジョン・ハリスン『ライト』 1点
- ル=グインの「西のはての年代記」の3部作は、「ゲド戦記」に較べると地味なような扱いなのだけれども、9・11以降のル=グインのメッセージとして、とても重要なものだと思うのです。ル=グイン自身、テロに対する戦争に強く反対していました。この3部作では、言葉、そして本が真の力であるということ、そしてその言葉を共有する、というより理解しあうということの重要性が書かれています。それは、バベルの塔の崩壊以降、言葉がバラバラになってしまった。その時代が今なお続いている、ということなんだと思うのです。もう一つ重要なことは、3部作のうち最初の2作、『ギフト』と『ヴォイス』がこれまでのル=グインの作品と決定的に異なるのは、主人公が最後になるまで、どこにも旅立たないということです。いつも、ル=グインの作品のストーリーは主人公がどこかからどこかに移動し、あるいは戻ってくる話でした。でも、主人公が旅立つところで話が終わるというのは、むしろル=グイン自身が、より後ろに戻って書かなきゃいけない、という意識の現われなのかもしれません。旅立つための準備が必要だ、という。この作品には、これまでのル=グイン以上に、彼女の「祈り」ともいうべきものを感じます。
- 『ライト』は、これぞSF、という。3つのストーリーのテイストの違い、時間と空間を隔ててなおからみあうという、アイデアもたっぷり。何より、微妙に泣かせるシーンもあったりして。丁度年末、同じように3つのストーリーが交錯するサイバーパンク以降の作品が刊行されていますが、こちらはマネーロンダリングというストーリーを虚飾した作品としか思えず、作家としての力量の違いを感じてしまいます。
- 大熊 宏俊 さん
- ○キャロル・エムシュウィラー『カルメン・ドッグ』
- ○川上未映子『先端で、さすはさされるわそらええわ』
- ○笙野頼子『だいにっほん、ろりりべしんでけ録』
- ○高野史緒『赤い星』
- ○眉村卓『司政官 全短編』
- この年は『司政官 全短編』と『消滅の光輪(上下)』が創元SF文庫から復刊されました。『消滅の光輪』は8年ぶりですが、『司政官 全短編』の収録作品のなかには30年近く読めなかった作品もあり、今回の復刊でようやく司政官シリーズの全体がほぼ俯瞰できるようになりました。著者が持論であるインサイダー文学論を十全に展開し得た日本SF史上に屹立する特異な傑作シリーズであり、それが文庫で手軽に読めるようになったことを喜びたいと思います。唯一残された『引き潮のとき』も、引き続いて復刊されることを期待します。
- 眉村卓以外は図らずも女性作家が占めてしまいました。いずれの本も一般的な小説の概念からは何ほどか離れていて刺激的で楽しめました。今や先端的な小説を書いているのは女性作家ばかりなのではないでしょうか。言いすぎでしょうか。
- 『先端で……』は非常に出来不出来が激しい作品集で、恒常的にレベルを維持し上げていけるのか、一抹の不安を感じないこともないのですが、いいのはとことんいいです。いわゆる「小説」にこだわらず、散文詩的な掌篇をもっと書いてほしいものです。
- 『カルメン・ドッグ』と『だいにっほん……』は表面的には柔と剛という違いを感じますが、意外にも作り上げられた「小説世界」はずいぶん似ているように思いました。奥行きがあるというのではなくて、むしろマンガ的でギミックな小説世界であるという点で。
- 『赤い星』もとんでもなく変な話で、伝統的な小説観からすれば破綻していると思うのですが、突き抜けたところにすごい小説世界を作っちゃった。これまでは、(もちろん幻想小説ではありましたが)どちらかといえば(伝統的)文学寄りの作風と認識していたのに、本作で一気に飛び越えて新たな地平に達してしまったように感じました。
- 中村 達彦 さん
- SFはこれを読め! 谷岡一郎 1点
- フリーランチの時代 小川一水 1点
- 稲妻6 坂本康宏 1点
- 地球最強姉妹キャンティ 大怪盗をやっつけろ! 山本弘 1点
- 新世界より 貴志祐介 1点
- 「SFはこれを読め!」は最新のSF入門書として、ぜひ加えたい1冊。手ごろで読みやすいです。私は小学生の時、筒井先生のSF入門でSFを知ったので、こういう本でSFの面白さを知る新人が現れてくれることに期待します。
- 「フリーランチの時代」は改めて小川一水のSFへの愛着やアイデアの広さを感じました。人類変革の時をこういうやり方で描くとは、去年推薦した「時砂の王」の外伝が入っているのは嬉しいです。
- 「稲妻6」は坂本作品の系譜でいささかマンネリな気もしますが、こう言う作品が個人的に好きなので。特撮作品の影響大きいです。結末の対決がいささか説明不足で不満すが、変身の設定は面白いです。キャラクターとそれがおりなすストーリーは、主人公以外の話も併行して語られています。この御時世だからこそ続編を希望します。
- 「地球最強姉妹キャンティ」は、ヤングアダルト向けの活劇SFです。急に姉妹になった2人の絆が深まっていくドラマに、趣味の科学考証を重視した活劇アクションを絡めた面白さは◎です。
- 「新世界より」は、すいませんまだ読みかけですが、どんどん引き込まれていく面白さに、将来読み終わった時絶対1点入れるだろうと見通して。
- 番外
- クリエイターの画集で「出渕裕画業30周年記念画集 IIIX」や「開田裕治作品集 UTOPIA」は一押しです。古くから活躍し、アニメ・特撮界で直接・間接的に影響を与え、かつSFマインドを持つ両氏の活躍を賛辞する意味も含めて。
- あと昨年もアニメ・特撮で話題作や冒険作が続々と登場しました。その中で大ヒットこそしませんでしたが「東京少女」(小中和哉監督)、TVドラマ版「鹿男あをによし」は一押し、DVDでぜひ見てください。
- また光瀬龍先生の少年向けSF小説「夕ばえ作戦」の続編が、コミック雑誌リュウの別冊付録で復刻されたのが嬉しかったです。
- 森下 一仁
- 『新世界より』貴志祐介
- 『神獣聖線 Perfect Edition』山田正紀
- 『ライト』M・ジョン・ハリスン
- 『パワー』アーシュラ・K・ル=グウィン
- 『あなたまかせのお話』レイモン・クノー
- クリストファー・プリースト『限りなき夏』やイアン・R・マクラウド『夏の涯ての島』、坂本康宏『稲妻6』、大森望+日下三蔵編『虚構機関』などなど、入りきらないものが多いですね。
- クノー『あなたまかせのお話』は小説そのものを考え直し、ひねくり、遊んでみるという精神が素晴らしい。
- 椋野 直樹 さん
- 今年も末席を汚させて頂きます。ただ、申し訳ありませんが作品と点数のみ送らせていただき、コメントは後ほど再送させて頂きませんでしょうか。できるだけ早く送らせて頂きます。よろしくお願い致します。
- 1.冷食捜査官vol1 とりみき 2点
- 2.詩羽のいる街 山本弘 1点
- 3.二十世紀の幽霊たち ジョー・ヒル 1点
- 4.ザ・ロード コーマック・マッカーシー 1点
- 関連図書
- ぼくたちのアニメ史 辻真先
- 正直書評 豊崎由美
- SF・特撮系映画ベスト5
- 1.ミスト
- 2.クローバーフィールド
- 3.ザ・フィースト
- 4.アイアンマン
- 5.スパイダーウィックの謎
- fuchi‐koma さん
- 分厚いハードカバーの読みの残しが多く、例年以上にうしろめたい気持ちで投票させていただきます(^^;
- 1.『虚構機関―年刊日本SF傑作選』 大森望・日下三蔵・編……1点
- 2.『エア』 ジェフ・ライマン……1点
- 3.『量子真空』 アレステア・レナルズ……1点
- 4.『時間封鎖』 ロバート・チャールズ・ウィルスン……1点
- 5.『迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル?』 林亮介……1点
- 1.久々の日本SF年刊傑作選。本格SFから文学寄りの作品まで取り揃え、最新の日本SFショーケースとして最適な一冊。
- 2.ネット社会到来の寓話としてものすごく面白かった。しかも、ただ口あたりが良いだけの物語ではない。この小説は人間を描いている。
- 3.いま最もホットな宇宙SFかもしれない《レヴェレーション・スペース》シリーズ(個人的には《啓示空間》シリーズという方がわかりやすくて良いように思う)最新刊。既刊のキャラが勢ぞろいする本巻は1200ページ超の厚さを感じさせない痛快さ。それにしてもこのレナルズ、ノリノリである。
- 4.かつて『タウ・ゼロ』を読んだときに宇宙船を救う方法として空想したことの一つを実践していて吹いたw 人間ドラマにはいささか乗りきれなかったが、この小説がSFならではの興奮に満ちていることは間違いない。
- 5.現代京都版ウィザードリイとして非常に高いリアリティを持たせることに成功している。その強度は『ガンパレード・マーチ』レベルといって良いかもしれない。続巻が待ち通しい。
- また『ハローサマー、グッドバイ』や『エンジン・サマー』(どちらも素晴らしかった!)など長らく絶版だった名作が新訳で刊行されたのも嬉しい年だった。
- 番外
- 『ハーモニー』 伊藤計劃
- 『Boy's Surface』 円城塔
- 『ライト』 M・ジョン・ハリスン
- 『TAP』 グレッグ・イーガン
- 『ミニスカ宇宙海賊』 笹本祐一
- 『ルナ・シューター』 林譲二
- 『片手間ヒロイズム』 小林めぐみ
- 『回帰祭』 小林めぐみ
- 『フリーランチの時代』 小川一水
- 『20世紀の幽霊たち』 ジョー・ヒル
- 『エイリアン・テイスト』 ウェン・スペンサー
- 『遠すぎた星 老人と宇宙2』 ジョン・スコルジー
- 《サイボーグ士官ジェニー・ケイシー》三部作 エリザベス・ベア
- 『ブルースカイ・シンドローム』 一の倉祐一
- 『宇宙細胞』 黒葉雅人
渡部 敦 さん
- ・『ハーモニー』伊藤計劃
- ・『年刊日本SF傑作選 虚構機関』大森望・日下三蔵:編
- ・『サイエンス・イマジネーション』小松左京:監修 瀬名秀明:編
- ・『量子真空』アレステア・レナルズ
- ・『太陽の中の太陽』カール・シュレイダー
『ハーモニー』。伊藤氏の急逝は大きなショックでした。氏が今後書くはずだったすべての作品を背負っていくのだと思います。 『虚構機関』。「SF」の幅広さをトータルに伝えようとする企画力と鑑識眼に。 『サイエンス・イマジネーション』。ワールドコンの興奮が蘇りました。 『量子真空』。この宇宙に魅せられています。「全部見せます」というボリュームにも大満足。 『太陽の中の太陽』。この宇宙に魅せられています。非情な幕切れに痺れました。
ベストSF2008 投票要領
今年もやりますベストSFアンケート。
じっくり選んで投票してください。2008年1月1日から12月31日までに国内で出版されたSF(奥付の日付で判断してください)で、あなたがおもしろかったと思うものをEメールで投票してください。要領は次のとおりです。
- 日本語で読めるもの。最終集計で翻訳作品と国内作品に分けます。
- 1人5作品まで推薦可能。もちろん、1作品でも構いません。
- 点数集計:推薦者1人が5点を所有し、推薦各作品に割り振る。指定のない場合は、均等に配分する。
- 例1:リーマン『滅亡の時』―4点、オバマ『希望の明日』―1点
- 例2:ねずみ『チューチュー』、うし『モ〜モ〜』、とら『ガオーッ』。(配点指定がないので各1.667点)
- 投票期間:とりあえず 2009年2月22日(日)24時まで。